血は出ていたけれど
大したことないと思ってた
もうずっと長い間
傷のない日などなかった
君は手際よく傷を洗い
大げさな手当てをした
何も言わない君に
僕は抗う術がなかった
君は僕を撫でた
僕は君に牙を立てた
君は僕を撫で続けた
その感触に僕は不安になり
同時に記憶を探そうとしていた
君の胸に鼻面を入れて眠る
君の匂いは
獲物の匂いを忘れさせた
君の言葉はわからない
でもその音は心地良かった
その美しい唇の動き
僕はまた明日出かけていく
足跡を追い匂いを嗅いで
森はいつまでも変わらないだろう
きっと僕の傷跡も
ただ僕は
獲物を捧げるだろう
精霊たちに捧げるように
君に