月と影

Photo credit: Twisted Realm on VisualHunt

 


丸く白く
雲の向こう側を照らし
僕の影を落とす

 

あなたはいま何を想う
がまんしているのかもしれない
泣いているかもしれない
迷っているかも

 

僕は聞けない
怖くて
僕の無神経な言葉が
僕の力なき行いが
あなたを遠ざけるかもしれない

 

何度も何度も
あなたは言った
傍にいると
そのたびに僕の世界が滲む
光るベールの向こうから
あなたが僕を見つめる
何ひとつ心配いらないと

 

でも
僕は聞けない
怖くて

 

あなたを失わないためなら
なんだってする

 


丸く白く
雲の向こうを照らし
足掻く僕の影を嗤う

 

お前はちっとも会いに来なかった
祈りを忘れ
憧れも捨てただろう

 

僕は首を振る
あなたを忘れたことなど
一度もない
どしゃぶりの中でも
明るすぎる昼にも

 

どうか
どうか
いつまでも
いつまでも
僕を照らして
傍にいて