奇跡

Photo credit: Lynette FIESCHI on VisualHunt
 

 

 

 

うなされていた

息が止まり目が覚める

頬に君の髪が触れる

胸が高鳴って身体をよじる

気付いた君がひよこの目で見る

寒い部屋の中で僕たちは温かい

 

 

色を失った山々

どこまでも続く湖

中州で鳥の鳴く川

寂しい夕暮れの内海

いつもひとりぼっちで見ていた

胸が詰まっても平気な顔をして

冷たい箱の中で鼻を鳴らし

苦しい今だけを見つめた

 

 

でも僕は奇跡を信じた

君と出逢えたから

どんなに孤独になり

絶望しているように見えても

口の中で小さく

誰にも聞こえない声で

ずっと呟いていたんだ

 

 

奇跡は…あ…る

奇…跡はある…

奇跡…は…ある

奇跡はある

奇跡はあるんだ

 

 

 

奇跡はあるんだ

僕が世界を捨てようとしたときも

君は僕を想っていた

そしてとうとうふたりで見た

山を湖を川を内海を

街を染める赤い夕陽を

相変わらず君は女神だ

奇跡はあるんだ

 

 

苦しみがまた僕たちを引き裂こうとする

君を孤独にさせ僕を意固地にするだろう

でも大丈夫もう大丈夫だ

僕たちはあの温もりを知っている

終わらない温もりを

僕たちは世界を手に入れる