Photo credit: avrene on Visualhunt
夢から醒めるよりも騙されていたいと
分かりきった罠にかかるように
僕は過ちを認めなかった
あなたが猫と呼ぶものが本当に猫なのか
愛と呼ぶものが本当に愛なのか
疑念を持たなかったとは言わない
哀しみにそっと近づいて指先を舐める舌
寂しさにじっと見つめる煌めく瞳
あなたはそれを見ていたのだろうか
かつて何度も暴れてまわり
草木を倒して土をむき出しにした
あの川の悠然とした姿
あなたのはしゃぐ声と
何度も吐く僕のため息
車内を満たす美しい光
僕の猫はもう逃げた
腕をすり抜けて呼ぶ間もないままに
鳴き声すら聞かせずに
まるで最初からなかったように
僕の隣には誰もいない
猫も君も
僕はもうあなたの心を知ろうとはしない
僕はもうあなたの心を知ろうとはしない
思い出もすべて消える
最初からなかったものだ
すべては幻
夏の光の眩しさに消えてしまう
さようなら愛しい時よ
さようなら
さようなら
あなたがさようならを言う前に
僕はさようならを言いたい
何に別れを告げるのかを曖昧にして
それでもはっきりとさようならと言う
そうしないと耐えられそうにない