さようなら、猫

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夢から醒めるよりも騙されていたいと

分かりきった罠にかかるように

僕は過ちを認めなかった

 

 

あなたが猫と呼ぶものが本当に猫なのか

愛と呼ぶものが本当に愛なのか

疑念を持たなかったとは言わない

 

 

 

哀しみにそっと近づいて指先を舐める舌

寂しさにじっと見つめる煌めく瞳

あなたはそれを見ていたのだろうか

 

 

 

かつて何度も暴れてまわり

草木を倒して土をむき出しにした

あの川の悠然とした姿

 

 

 

あなたのはしゃぐ声と

何度も吐く僕のため息

車内を満たす美しい光

 

 

 

僕の猫はもう逃げた

腕をすり抜けて呼ぶ間もないままに

鳴き声すら聞かせずに

 

 

 

まるで最初からなかったように

僕の隣には誰もいない

猫も君も

 

 

 

僕はもうあなたの心を知ろうとはしない

僕はもうあなたの心を知ろうとはしない

思い出もすべて消える

 

 

 

最初からなかったものだ

すべては幻

夏の光の眩しさに消えてしまう

 

 

 

さようなら愛しい時よ

さようなら

さようなら

 

 

 


あなたがさようならを言う前に

僕はさようならを言いたい

何に別れを告げるのかを曖昧にして

それでもはっきりとさようならと言う

そうしないと耐えられそうにない