砂と風

Photo credit: snowpeak on VisualHunt

 

 

何もない

砂と風以外には

 

 

森の中でも

道はわからなかった

ただあなたの枝折(しおり)をたよりに

とぼとぼと歩いただけだ

 

 

まるで罪人のように

俯き足を引き摺った

でもあなたが

日射しを入れた

 

 

 

目が覚めると

木のざわめきも

川のせせらぎも聞こえない

あなたは消えて

突然砂と風だけになった

 

 

 

警句がなかったわけではない

僕をいたぶるように

繰り返し繰り返し

責め立て続けていた

ただ僕には為す術がなかった

 

 

 

もう二度と

水も飲めない

小さな芽吹きも

小鳥の踊りも

見ることはない

 

 

 

何もない

砂と風以外には

 

 

 

誇りなど

何の役に立つ

口に砂を浴びずに

眠る場所すらない

 

 

 

ただ朽ちることも

許されない

歩くほかないのだ

ただ歩くほかには

 

 

 

何もない

砂と風以外には