羽、言霊

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美しくもない言葉を

何度も何度も宙にぶん投げて

一度だけ読み返して泣く

 

 

 

俺の手を離れた感情が

この世界のどこかに漂い続け

いつか誰かの鼓膜を震わせる

そんな夢想に意味なんかない

 

 

捨てたのは俺の方だと責めることで

あなたは俺を捨てる罪悪感から逃げた

俺は為す術もなく立ち尽くし

言葉のナイフを投げつけられて

ただただ黙っていた

 

 

美しくもない言葉を

何度も何度も宙にぶん投げて

一度だけ読み返して泣く

 

 

無謀にも俺は

あなただけを頼りに

この土地にやってきた

人生をベットしたことは

あなたも知っていたはず

それでも無残に打ち捨てられた

 

 

 

あなたが言霊と名付けたものたちは

鳥の羽のように軽く

とっくに風に吹かれて消え去った

重ねた身体の記憶すら

もうどうやっても呼び出せない

 

 

 

いつもの景色を眺める

僅かな声も聞こえず

前に進んでも

必ず元の場所に戻る

あなたの顔も

もう忘れてしまった

 

 

 

美しくもない言葉を

何度も何度も宙にぶん投げて

一度だけ読み返して泣く

 

 

 

俺は怒っている

叫び続けるだろう

あなたたちには聞こえぬ声で

そしていつか

地面を割る

 

 

 

美しくもない言葉を

何度も何度も宙にぶん投げて

一度だけ読み返して泣く