欠片

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Photo credit: sianmonument via Visual Hunt / CC BY-NC-ND

 

 

あなたの唇は微かに開いて

その言葉を囁く

 

 

深い森の夜がざわめき

眩しい海辺がさざめく

王宮の天蓋の下で

冷たい洞窟の奥で

小さな僕の部屋で

その声が聞こえる

 

 

僕は何度も生まれ

何度も消えた

たったひとつ

同じ欠片を抱いて

 

 

かつての僕はいない

思い出はなくした

あなたの記憶も

取り戻す術はない

でも僕の欠片は

あなたの囁きを

刻み込んでいる

 

 

待たせてごめんよ

どうしようもなかった

遠い場所にいて

気づかなかった

 

 

哀しいよ

ずっと前の僕たちは

もうどこにもいない

時の海岸に洗われる

小さな砂になった

 

 

それでも

僕はつかまえた

僕の欠片で

あなたの欠片を

 

 

僕たちは何度も別れ

何度も出逢う

幾千となく繰り返し

掬われた粒の上で

求めあい

ひとつになる

 

 

こんなにも

美しく温かく

そして澄んでいる

懐かしい匂い

いつも月の下で

愛を交わす

 

 

僕は決して

あなたを失わない

そしてあなたも

いつだって僕たちは

ここにくる

約束はいらない

 

 

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